看護師
「桃香さんの保護者の方ですか?」
何というテンションの低い声。
この電話を受けたときはかなり焦った。
桃香の身に何かあったのか?
ひょっとしてお腹の中の赤ちゃんが?
赤ちゃん誕生の道のりC 〜 わたしがあなたを選びました思えば、妊娠10週目の出血 「
切迫流産の危機」 があってからは10年間正社員を続けていた会社を辞めてもらった。
赤ちゃんを取るか?仕事(お金)を取るか?
そんなことは決まっている。
赤ちゃんだ!「切迫流産の危機」 のときは、着ているスカートが血でにじむほどの出血。
明らかに出血が分かった。
このときは本当に半分諦めていた。
でも、赤ちゃんは元気に生きていた。
出血の原因は分からなかったが、入院までした。
確かに働いてもらった方がお金は楽だ。
でも赤ちゃんの命は一つしかない。
もう、後戻りできない。
家計は自分だけで支えるという覚悟をした。
夫婦で収入が200万減るというのは、かなりのダメージ。
でも、安静にしてもらうために辞めてもらった。
後悔はしていない。
「わたしがあなたを選びました」という本があります。
作者 鮫島浩二(中山産婦人科クリニック)

悩むまでもない。
答えはここにありました。
おかあさん、
わたしのためのあなたの努力を、わたしは決して忘れません。
お酒をやめ、タバコを避け、好きなコーヒーも減らしましたね。
たくさん食べたい誘惑と、本当によく闘いましたね。
わたしのために散歩をし、地上のすばらしさを教えてくれましたね。
すべての努力はわたしのため。あなたを誇りに思います。
おとうさん、
あなたに抱かれる日はまもなくです。
その日を思うと、わたしの胸は高鳴ります。
わたしたちといっしょに、
お産をしましょう。
あなたのやさしい声が、
わたしたちに安らぎを与えてくれます。
あなたの力強い声が、
わたしたちに力を与えてくれます。
あなたのあたたかいまなざしが、
わたしたちに励ましを与えてくれます。
わたしたちはあなたをこよなく愛し、
信頼しています。
わたしがあなたを選びました(Amazon.co.jp)
………
……
…
電話で次の言葉を待っていた。
看護師
「おめでとうございます。産まれました。」
全く声のテンションは変わらなかった。
海人
「えっ、はい?」何のことか分からない。
さっき、桃香からの電話があって一時間くらいしか経っていない。
しかし、このテンションの低さでこの言葉なのか?
電話は桃香に変わる。
桃香
「産まれたよ。電話してからすぐお腹が痛くなって分娩室に入ったんだよ。」
何という明るい声。
後ろからは赤ちゃんの元気のいい声が聞こえている。
出産後というのは、疲弊してそれどころではないのでは無いと思っていた。
海人
「早いね。早すぎる。」
こんなことを言うつもりはなかったのですが、第一声がそれだった。
立ち会い出産を予定していた私はこの状況がよく飲み込めなかった。
桃香
「それから、胎盤ももうとれたよ。丸くてかわいい胎盤だったんだって。」
なんとのんきな言葉だろう。
もう、 「第三期 赤ちゃんを産んでから胎盤がとれるまで(後産)」 の処置さえも終わっていたようだ。
空白の第二期(分娩)に立ち会えないまま、呆然としていた。
現実は、こんなものなのか?
それとも、どっきりなのか?
病院に急ぐ。
PM 2:10 病院病院に着いた。
もう、桃香は分娩室からでており病室の大部屋に移されていた。
何というスピード。
「
案ずるより産むが易し」 というのは本当のことだった。
どうやら自分は心配性で、悲劇の妄想癖があるらしい。
悪い癖だ。
現実というのはもっと明るく楽しいものだ。
これからは、楽しい未来だけを考えよう。桃香に会ったら言う最初の言葉は決まっていた。
「桃香、よく頑張ったな。」
Dに続く
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posted by 海人 & 桃香 at 22:17|
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赤ちゃん誕生までの道のり
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